2012/02/28

パレスチナ人たち

学術兼サポートメンバーの高井です。

今回はパレスチナ人について。みなさんはパレスチナ人やアラブ人についてどんなイメージをお持ちですか?
日本での一般的なイメージは、イスラム教を大切にする信心深い人々であったり、カラシニコフを持った戦闘的な人たちというものがあるかもしれません。

でも実際はもっと多様なのです。人によってお酒は飲むし、非常に洗練されたジョークを飛ばす。
気難しい人もいるし、明るい人もいる。いいやつもいるし、ちょっとめんどくさいやつもいる。その比率は日本人と変わらないような気がします。

会議を通して最も仲良くなったあるパレスチナ人の参加者は、イスラム教徒ですが、時々お酒をたしなんでいました。
そのことをからかったところ、「日本は中東から遠すぎる。だから僕が飲んでも、神様にはバレないさ」と笑っていました。

別の参加者は、もうちょっと生真面目な人でしたが、やはりお酒は飲みました(笑)
その言い訳を思い返すと今でもにやりとします。

「コーランには「ワインを飲むな」と書いてある。お酒を飲むなとは一言も書かれていない。だからビールはセーフだよ!」

(高井純一郎)

2012/02/18

元JICAパレスチナ所長の成瀬先生にお会いしてきました!!

28日 @麗澤大学
                    
お久しぶりになってしまいました><
日本・イスラエル・パレスチナ学生会議代表・金子です!


事務局長橋本、代表金子が元JICAパレスチナ所長・現麗澤大学教授である成瀬猛先生にお会いしてきました!

来月初旬から20日間ほど、イスラエル・パレスチナ両地域に私含めたメンバー3人が渡航する予定です。
そんな予定を立てている中、某友人が先生の主催した、昨年の中東研修に参加したという繋がりから、今回光栄にもお会いできることになりました。

私と橋本が通う東京外国語大学から小旅行をし、広大な敷地の麗澤大学に到着。

2時間ほど、JICAの事業を中心にお話を伺いました。


簡単ではありますが、復習の意味も込めてお話を整理したいと思います!

・「平和と繁栄の回廊」構想
これは平成18年に小泉内閣時代に発表された、日本の中東和平への関わり方を明示したものです。(詳しくは外務省のホームページを参照してください。http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/18/rls_0713b_3.html


これは中東和平に向けて、将来パレスチナに経済的に自立した「独立国家」になるための援助を日本が買ってでる、というもの。
それまでの援助漬け・非占領地としてのパレスチナではなく、イスラエルと対等な立場で共存するための前例を作ろう、というものです。
独立させろ、と主張したところで、いざ独立国になったときにどう国を動かしてゆくのか。その時から考えていたのでは遅いのではないかという中長期的な目ですね。

具体的な例を挙げるとすると、農業団地の設営・農業技術援助。パレスチナ西岸地区のジェリコにある平地を、日本のODA・技術支援により農地とし、さらに隣国ヨルダンを経由して湾岸諸国に作物を輸出するのです。
これは経済的な自立を促すだけではなく、イスラエル・パレスチナ・ヨルダン3国間で協力しなければ現実不可能。そこで、日本が間に入って3国間でこのプロジェクトを成功させる。そうすれば自ずと信頼醸成にもつながる。

また、今や農業団地は「加工団地」と呼称されており、農産物に限った産業誘致ではなく、パレスチナの持っている比較優位を集積し、そこに日本の持っている環境技術や省エネ技術を組み合わせた、新たな付加価値創出を期待しています。もっとも、その為には日本の産業界からの支援も期待したいところです。

そして、このプロジェクトを陰で進めていたのが成瀬先生だったようです。
先生が一番強調なさっていたのは、このプロジェクトは単なる技術援助ではなく、重層的な人やもの、そしてノウハウの交流を作り出しながら、政治の枠を超えた結び付きを作り出そうとするものです。
後述しますが、実際に「母子手帳」制度はパレスチナの女性たちが今度は「教える側」となって近隣のヨルダンやシリアに制度を広めているそうです(母子手帳制度が導入されたのは中東諸国ではパレスチナが初めて)。

国と国との外交は(もちろん利害関係が絡み合い、一筋縄で語れるものではないにしても)、色んな人が関わり、努力し、信頼できる関係を創りながらやっていくものなのだなあと実感。
JIPSCも、本当に微力ではありますが、そんな役割を担っていきたいです。


・現地での信頼関係構築
一通り日本政府の「平和と繁栄の回廊」構想やJICAの取り組みを一通り伺って、「なにか聞きたいことがあってここに来たのだよね?」と聞かれ、
お互いプロジェクトなどは勉強したものの、事前準備のできていなかった橋本とわたし…(_;)

そこで私:「このようなパレスチナ現地NGOからの意見書が出されているのはご存知でしょうか。これについてどうお思いでしょうか。」
参照:JICAのヨルダン渓谷開発提案に対する意見書(NGO ストップ・ザ・ウォールキャンペーン)http://palestine-heiwa.org/feature/oda/stw-jica-briefing.html

よくテレビで流れてくる政治家の会見のような稚拙な質問をしてしまった、と我ながら思いますが、この意見書の裏に潜む現地の人々の気持ちが分かったような気がします。

考慮しなければいけないのは、この意見書が出されたのは、JICAのプロジェクトが始まってから間もないということです。
地域住民からすると当然、他国の支援で農業開拓がされ、これがこの先本当に自分達のためになるのか、自分達が搾取され、ひいてはイスラエル側の利益になるような農地になってしまいはしないか。という疑問と不安の気持ちを抱かざるを得ません。

イスラエル・パレスチナの抱える問題を解決しようと、これまで国際社会は様々な「約束」をしてきました。
その「約束」が今までどれだけ果たされてきたでしょうか。
当時の超大国・アメリカが解決できず、あれだけ和平の機運が高まったときもありながら今に至っているという経緯を顧みれば、無理もないことです。

そのために、国対国レベルではなく、コミュニティレベルで日本が援助していることもお話していただきました。
例えば「母子手帳」制度の導入。
「イスラム教徒には須らく『殉教』の概念がある!」なんて、日本のメディアしか見ていなかったら思ってしまうことかもしれませんが、お母さんが子供を想う気持ちはパレスチナだって同じはずです。
この事業は「命のパスポート」という名で現地の人に呼ばれ、貴重なIDカードの役割も果たし、活用されているとのこと。

また、サッカーの北澤選手をパレスチナに招致し、サッカーの好きな少年・少女とのイベントを行い、スポーツを通して日本をより身近に感じてもらうことにも尽力。


以上、私の稚拙な文章での説明になってしまいましたが、先生にはこの他にも中東に第三者として関わる者が知っておかなければいけない知識・考え方をレクチャーしていただきました。

また、先生が主催している中東研修の様子を収めたDVDも鑑賞させて頂き、来月の渡航の参考になったとともに、やはり私達のような「学生」がイスラエル・パレスチナ問題を考え、アクションを起こし、日本に発信していくことで何らかの良い影響を与えられるのではないかな、と先生とお話していて確信しました。

今後先生には、先生のゼミの生徒さん・顧問を務めていらっしゃるNPO法人に所属している学生など、同じ問題意識をもつ学生で繋がっていけるように協力していただけるとのことですJ

※何事においてもそうですが、JICAや日本政府の行っているプロジェクトについては賛否両論があるかもしれません。そのことは承知で、イスラエル・パレスチナ問題を考え・関わる日本人学生として、何かヒントをいただきたく成瀬先生にお話を伺いに行きました。ですので、この記事は任意の学生団体であるJIPSCが今後日本政府やJICAに「全面的に」賛成し、何か事業を行うといった趣旨のものではありません。
社会的に自由な立場である学生として、今後も様々な活動をなさっている組織・団体にお話を伺っていこうと考えております。